第4章 混沌街の傷痕
「これが、クリムゾン…!」
「さすが、ハクス様だぜ!」
「おらおら、あんな奴ら殺せー!」
騒ぎ立てる周りを、視界に入れない怪物はただ一点を見つめている。
「お、おい…。さすがのあんたでもあれはやばいって…。」
怯える女。だが、そんなことよりも気になることがある。
「なぜお前がその怪物を知っている。ただの古文書にはそのような名前はないはずだ。」
「ククク、ご名答ですよ。あなたもよく知ってるでしょうけどね。」
不適な笑みで嘲笑う。クリムゾンは動じない。
「"地獄絵巻"でしたね。特別な魔力を有する秘伝書は。」
「やはりそれを知っているのか。」
嘲笑いが止まらないのか、目線が外れる。
「それ、なんなんだよ。」
「女、この世に地獄っていう場所があるのは知っているだろう。」
「当然だ。行きたくはないけどな。」
「そこにいる魔物、怪物、妖怪を封じ込めたのが"地獄絵巻"と呼ばれる書物だ。」
聞いただげでも、寒気が止まらないと呼ばれている謎の書物。
ウウウウウ!!!!
「あー、クリムゾンが限界かな。行きなさい。」
オオオオオオウウウウウ!!!!
獣が走るごとく、迷いなく死神に向かっている。
「仕方あるまい。少し本気をだそう。」
書物と鎌を上空に放り投げ、ギルティブレイクは唱える。
「ルシファー・フォース!」
その瞬間、死神が上空に舞った。