第4章 混沌街の傷痕
「貴様は誰だ。」
「私の名はハクス。この街に住むものだよ。」
銀髪の少し華奢な若者は、死神と抗うように白スーツを身に纏っている。
混沌には似合わないはずだが、この場にいる罪どもは全く疑わない。
「ハクス様、ギルティブレイクです!」
「なるほど、あなたが死神。」
楽しげな目に見えるせいか、不気味なオーラが強く感じる。
「俺の問いに答えろ。こいつら、なぜ死なない。」
「不死身ではありません。現に3人、死んでるので。」
確かに狼の餌になったものや、上空からの洗礼になったものはピクリともしない。
「あなたが攻撃するとわかった場所に、特別な細胞を集めておいて、自然に治癒しただけですよ。」
「その風貌と知識、科学者だな。」
首を傾けるハクス。
「知りたければ、こいつを倒してください。」
ハクスの後ろから、ゆっくりゆっくり四足歩行の何かが来る。
「古代の魔物を復活させました。その名も、クリムゾン。」
地響きがハクスの後ろで鳴り終わる頃、巨大な怪物の全貌がはっきりした。