第4章 *地獄不思議発見
席に近づくにつれ、閻魔大王と鬼灯様の会話が聞こえてくる。
なんか…恋バナ?してる気が、するのだが。
とりあえず、席に座る。
「あ、ちゃん、お帰りー。今ね、鬼灯君の女の子の好みの話してたんだよ」
『そうなんですか? 全然想像出来ないんですけど…』
「ちゃんもそうだよね! でもさ、この子とかタイプらしいんだよ」
そう言って大王がテレビ画面を指さしたため私もその指さす方を見ると、探検隊のような姿をした女の人が映されていた。
黒髪の長髪を一つに結び、明るくて動物や虫に臆していない姿が印象に残った。
『鬼灯様ってこんな子が好きなんですね』
「顔の好みはあまりありませんよ。ただ、虫や動物に臆さない人が好きですね」
『あ、そうなんですか。完璧に顔が好みなのかと思いました(笑)』
「違いますよ」
何か、少しだけ呆れた顔をされた気がした。
「悪気は無かったんです…すみません」と心で呟いておく。
「ちゃんは?」
『え、何がです?』
「男の好みとかどうなの? もしかして、好きな人が居たりする?!」
突然のこの質問に持っていたスプーンをまた落としそうになり、慌てて否定する。
『いやいやいや、好きな人は居ませんよ?! 好みとかも……特には無いですかね? しいて言えば、自分が好きになった人…ですかね?』
「……名言」
『名言っ?!』
私が言ったあと何故か少し静まり返り、その後鬼灯様に名言と言われ驚く。
思わず勢いよく首を振ってしまったため、変に痛かった。
それ以上何も言わなかったが、鬼灯様の中では名言になってしまったようだ。
首を擦りながら食事の続きを…と思っていると、
「……ん? アレ?」
「あ、」
『…??』
大王と鬼灯様の拍子抜けたような声が聞こえ私も振り向いてみると…テレビ画面に鬼灯様の名前があった。
しかも「3泊4日で行くオーストラリア魅惑の旅」だ。
「当たってる!? オーストラリア4日間の旅」
「閻魔大王! 私、有休頂きますよ!! 止めても行きますからね!!」
「むしろワシも連れてけよ!!」
「嫌です!!」
ちなみに鬼灯様はクリスタルヒトシくん2個目。
言い争ってる二人の横で私は再び麻婆豆腐を食べることにする。