第2章 近侍にしてた彼が
「…それでは俺は先に行く。
主は其奴と一緒にいる方が楽しいようだしな」
そう言って彼はスタスタと歩いて行ってしまう
『え…っ、お、お待ちください…!』
私の言葉に反応することなく遠ざかる彼
「…ユメ様、わたしの事は気になさらず
三日月宗近様の言うとおり私は帰りますゆえ…
改めて後日ご挨拶に出向いてまいります」
私に言葉を挟む余地を与えぬ早さで帰って行ってしまったこんのすけ
ちょっと寂しいけど、今は三日月に追いつかなければ…!
迷子になるし仲直りしたいし
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彼は然程早く歩いていたわけでもなかったようで
すぐに追いつくことができたが
機嫌は直っていない様子である
『三日月、さっきはごめんなさい…』
「…主は、何について謝っておるのだ?」
立ち止まってこちらを振り向く彼
『三日月を、怒らせてしまった事…です。』
気まずくて、少しうつむきながら答える
「…俺は、謝られただけで気が直る男ではないぞ」
困ったと思い、何をしたら許してくれるか考えを巡らすが
何をしたらいいのかわからない
土下座とか?!坊主にするとか?!それはヤダ←
「何故、俺の手を離した挙句
彼奴の前ではあのような笑みを浮かべるのだ…?」
寂しそうな声色で話す三日月におどろき
顔を上げ三日月を見ると
少し頬を膨らませてこちらを見ている
不謹慎だが、その表情が可愛く見えて少し頬が綻んだ
『ごめんなさい、もう離しません』
そう言いながら三日月と手を繋ぐ
三日月を見ると少し嬉しそうに見えた
「うむ、よきかなよきかな」
2人で顔を見合わせ微笑み合う
「すまんな。なんせ
あれだけ俺たちを恋しく思ってくれていた主が
こんなにも愛らしいとは思わなくてな
自分でも驚くほど独占欲が煽られる」
私の頭を撫でながら話す彼の目は優しかった
「さて、それでは行くとするか」
また彼に手を引かれ広間へと足を進める