第1章 Episode0 #すべてのはじまり
救急車が到着して、男性が中へと運ばれる。それに私も同行した。
倒れた時、すぐ近くにいたのは私だ。
何か状況を問われた時、一番正確に答えられるだろう。
なにより、彼が心配だ。
運ばれてすぐに彼は診察を受けた。
幸いにも、ただの熱と疲労の蓄積。
1日入院したらもう退院でいい、とのこと。
医者はそう言ったものの、彼は未だに目を閉ざしたまま。あれからずっと彼のベッドのそばにいるけど、一向に目覚める様子がない。
そして、夕方。
〜〜♪
着信音が鳴り出した。
私はケータイを持ってきていないから、おそらく彼が持っていたケータイ。
ベッドの脇にある棚の上に置いてあったから、そっと画面を覗く。そこに表示されていたのは、マネージャー、の文字。
マネージャー?
ってことは、彼は芸能人かなにかってこと?
テレビで見たことはないけど……、確かに可愛らしい顔をしている。逆にどうしてテレビに出られないんだろ………?
2分ほど着信音は鳴り続けたが、それきりぷつんと途切れた。
そして、夕日もそろそろ沈み始めていた。