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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第4章 Episode3 #過去


『うわあぁああぁあ!?』

私は思わず梶くんを突き飛ばした。

『え………、今………えぇええ!?』

今………、今!!
梶くんを………す、すすす、好き………とか!!

ひとりでパニックを起こしている私を彼は不思議そうに見つめた。

『うわぁあああああ!!!』

「え、ちょっと!?」

後ろから聞こえた梶くんの声を無視して、私は全速力で走って店を出た。だって………、そんなの………!


私は知らないっ!





【梶裕貴side】

「え、ちょっと!?」

俺の声は届かず、彼女は全速力で走って店を出ていってしまった。seasonのスタッフはみんな帰ってしまったから、俺はひとりぽつんと残されてしまった。

抱きついてしまったのが悪かった……?

でも、最初は俺に身を委ねて安心しきった感じで泣いていた。俺としては、安心されても複雑な感じなんだけど。まあ、それはいいとして。

だったら、なぜ彼女は急に………?


そういえば、急に叫び出した時の顔、赤かったような………。いや、これは俺の自惚れ?そうなって欲しい、という願望?

いや、でもこれしか答えが見つからない。
俺は黙って頭を撫でていただけで、特別変な事はしていない。むしろ、するわけない。彼女に嫌われたくないし。それに、彼女は俺を知ろうとしてくれているんだから。


だから、つまり…………














彼女は俺を意識した……?
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