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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第1章 Episode0 #すべてのはじまり


いつもお世話になっている店でバターを大量に購入する。多分、これだけ買えば今のピークを乗り越えられるはず。

私は帰りも走り続けた。
走って15分。
かなりしんどい。
でも、seasonのためならそれくらい……!

人を切り抜けながら走っていると、前からふらふらと男性が歩いてきた。避けようと思ったけど、周りに人が多くて避けきれない。走って勢いをつけてある足の速度をいきなり落とすことなんてできない。

そして私とその男性は勢いよくぶつかった。思わず尻餅をつく。バターは死守。

『すみません!』

「大丈夫……です……」

私と同じく尻餅をついた男性がふらふらと立ち上がる。そして、顔を上げないまま、頭を押さえて私に力なく礼をする。

「俺こそ、すみません」

そう言うなり、男性が歩こうと、一歩進む。
二歩目はなかった。

一歩歩いた瞬間に前にいる私の方に倒れてきたから。

『え!?だ、大丈夫ですか!?』

私は男性の肩を揺すった。
でも反応はない。

『どうしよ………』

気を失ってしまっている。
しかも、少し熱い。

尻餅ついただけで気を失う事は……ないと信じたいけど………。
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