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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第3章 Episode2 #悪夢


「そうです!店長はすごいんですよ!」

なぜか柚葉ちゃんが得意げに胸を張る。そういう所が可愛い。

「うん、確かにすごい!」

なぜか梶くんも柚葉ちゃんの意見に賛成する。梶くんも可愛らしい。

『梶くんは何歳なの?』

梶くんが少しはにかみながら頭を掻く。

「30だよ」

俺の方が4つも上だね、とまたはにかみながらそう言った。私の頭の中は軽いパニック状態だ。

『30!?てっきり、20代前半だと思ってました……』

「ミネ、心の声漏れてるぞー」

梶くんに頭をこつん、と叩かれる。全く痛くないけど。

「ていうか、口調」

『へ?口調……?』

思わず間抜けな声が出る。
いきなり、口調、とか言われても何を伝えたいのか、なんて分かる人は少ないに決まっている。

「なんで敬語?」

あ、と声が出た。
意識はしていなかったけど、年上だと判明しちゃったから無意識に戻ってしまったみたいだ。

『年上だったからつい……』

年上の方は敬う、という日本の考え方は日本人にはもう当たり前のことのようになっているみたいだ。つまり私も例外ではないということ。………今は関係ないか。

「俺はミネと仲良くなりたいんだから、変な気を使わない。な?」

いつもとは違う、有無を言わさないようなものを彼から感じ取れる。だからか、私はこくりと頷いていた。

「よし、いい子いい子」

と、頭を撫でなられる。
梶くんの年上らしい所を初めて見た気がする。頭を誰かに撫でられるのは、私の記憶上初めてのことだ。

『……うん……』

頭に感じる彼の体温。
すごく、心地がいい。
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