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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第2章 Episode1 #約束


〈ミネ!〉

私を呼ぶ声がした。
続いて、大きな衝撃が背中に与えられる。

キ───────ッ!

タイヤの擦れる嫌な音。

ドンッ!

何かがぶつかり合う音。
周りの悲鳴。
赤く染まった地面。

なんで………


いやだ………いやだいやだいやだ!!!





『ん………』

目を開いた途端に、眩い光がまぶたの間から射し込む。そして、それを遮り、見覚えのある顔が私の顔を覗いた。

「大丈夫ですか?」

この声を、顔を、私は知っている。

『梶さん……?』

少し疑問形になってしまったのは、まだ少しだけその答えに自信が持てなかったから。

「そうですよ」

私を安心させるかのように優しく微笑む。本当に優しくて暖かな笑みだった。

『どうしてここに……?』

少し掠れた声が出た。
そんな私に気づいてか、梶さんが水を私に差し出してくれた。ペットボトルに入ったそれは、まだ冷たい。多分、まだ買ったばかりのものだろう。キャップを開けてから手渡してくれた。

「厨房で倒れたんです。覚えていますか?」

『倒れた………』

確か、パン生地を作っている途中に視界がぐにゃりと傾いて………。

私が今いるのは、seasonのスタッフルームだ。つまり、私が倒れたのを見かけた彼が私をここまで運んでくれた、ということだろうか。

「貴方が倒れそうになったのをギリギリのところで支えて、ここまで運んできました」

私の心が読めるのか、というくらいにピンポンイントで教えてくれた。私の顔が分かりやす過ぎるのだろうか。

「貴方の顔が分かりやすいので」


後述が正解のようです。
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