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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第2章 Episode1 #約束


そしてクリスマス。

どこを見ても、カップルや家族ばかり。本当に、羨ましい。でも、そんな感情をぐっと奥に押し込む。

店のプレートをopenに変える。
今日は朝から大忙しだ。

私は、ケーキ作りに没頭した。





「店長!一度休憩してください」

突如聞こえたその声に、私は作業していた手を止めて顔を上げる。いつの間にか、お昼の2時を迎えていた。

そういえば何も食べていない。
そう思った途端に、急にお腹が空腹を訴える。何も食べていないのだから当然だ。

『ありがとう。じゃあ、少しの間お願いね』

私はエプロンを外し、スタッフルームへと向かう。そこに置いてあるソファーに腰をかけ、何を考えるわけでもなく、ぼーっとする。

『はあ………』

そして無意識の内にため息を吐いた。

どれくらい時間が経っただろうか。
お昼も食べるのを忘れ、ただただぼーっとしていた。どれくらい時間が経ったのか、とは言えども、実のところ大して経ってはいなかった。十分程度だ。

そしてふと思ったのは、彼…………梶さんのこと。


全然来てくれない。
私はマフラーを返して欲しい、だとかそういうのではなく、ただ来てくれないことがとても……………



とても…………なんだろう?
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