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君の音、僕の音。〜梶裕貴〜

第2章 Episode1 #約束


私が悩む間にも月日はどんどんと過ぎていった。そして、時間が経てば経つほど私の考えはいつしか確信へと変わっていた。

やっぱり、彼は私なんかと会いたくないんだ。





12月24日。

クリスマスイヴだ。
seasonでは、ケーキの販売も行っている。当店に置いてあるのは、ブッシュ・ド・ノエルだけ。あとは、クリスマス限定の飾り付けをしたクロワッサン。

今の時期はとても忙しくて、私事で悩んでいる暇はなかった。

仕事が終わり、店に残って明日の仕込みや店の準備をする。これは日課だ。

スタッフルームに入り、部屋に設置してあるテレビをつけるとたまたま天気予報が流れた。

〈明日は久しぶりのホワイトクリスマスになるでしょう〉

『ホワイトクリスマス……』

天気予報士が言った言葉をなぜか復唱する。特に意味はなかったのだけど……。

それに、正直どうでもいい。
クリスマスを一緒に過ごすような人がいない私にとって、それはすごくどうでもいいことだった。


こういうイベントは、孤独を改めて感じてしまう。

惨めになるだけだ。
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