第1章 Episode0 #すべてのはじまり
「…………知られたくなかったんです」
『何を?』
私は特に何も考えずに、疑問を口に出していた。後で気付いたけど、その時には彼はもう話し始めていた。
「俺、最近あんまり休みをとらず、働きまくってたんですよ。その結果が、高熱と疲労の蓄積で入院、ですけど」
彼は少し自嘲気味に笑った。
まるで、愚かだろ、とでも言うように。
「まじでダサいっすね……。迷惑、掛けたくなかったのに……」
よほど、マネージャーさんが大事なのだろう。彼にこんなにも愛されているマネージャーさんを羨ましく思った。
『マネージャーさんのこと、好きなんですね』
うっかり口を滑らす。
あまりにもほのぼのした、いい感じのお話だったから。……つい。
「ええ、まあ……。ていうか、何か勘違いしてません?」
彼の言葉に私の頭上には?マークがびっしり。
『誤解、ですか……?』
彼は、マネージャーさんが大好きで、マネージャーさんも彼が大好き!というラブラブ的な感じじゃないの?
「一応言っておきますけど、マネージャーは男ですから」
え………
『えぇええぇぇ!?』