• テキストサイズ

俺のコタンは、あなたの腕

第14章 電報一本駆けつけます




「俺以外には。」
「誰なんだ?」
「あ?そうだな、俺はお前のその溜まった性欲を解放しに来た男娼だ。」
「男娼?頼んだ覚えはない。」
「伯父が電報を送ってきた。同じ男として。まぁ、分からんくもない。」

外套を脱ぎ、薄暗い部屋の唯一の光源、囲炉裏の火を少し小さくする。
谷垣にかけられた布を剥げば、軍人らしい立派な体躯。

「おい、待て。」
「あぁ、起きなくていい。必要ないから。ズボンだけ下げるぞ。」
「なに!待て!」
「いやぁ、仕事だし。お前も辛いだろう?谷垣さん。」
「男娼だろう!?」
「そうだよ?」
「お、俺は!男は!男だぞ!」
「黙ってろ。」
「ん!」

その気にさせるには、やはり接吻が一番雰囲気を変える。
酒飲みの乱れた席であろうと、気まずい二人だけの空間だとしても。
優しく包むような、男女がするような信頼した接吻。
探るような物じゃない。
客に対しては気まずさも気後れもしない。
この一夜、俺と客はこの世界に二人だけ。
だから、誰の事も気にしなくていい。

「はっ…」
「んふ。良い顔だ。」

これが。

俺の。

仕事。

「やめ…てくれ」
「良いんだ。気にするな。」
「ん!」
「いいんだ。」

やわっ。と触れれば、とたんに熱を持ち出す身体。
甘く、優しく。
耳元で、いいんだ。と囁き続ける。
快楽に身を委ね、すべての事に目を閉ざし、熱に魘される。

確かに簡単な仕事かもしれない。
しごいて出させたら終わり。
そうじゃない。

そうじゃない。

「何も言わなくていい。」
「あぅ…」
「気持ちよくなっていいんだ。」

男ってそんな単純なものじゃないだろ?

守って、優しくして、気遣って。
女を抱く時とは違う。

抱かれるんだ。
抱くのは俺。
抱え込んでるものすべて、俺が包み込む。

「すべて忘れて、解放してやるから。」
「ア…やばい…」
「いっていいぞ。」
「いく…イクッ!」


/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp