第4章 紅い瞳の魔法使い
お店に戻って、レオ様が置いていった箱を開ける。
それは見たこともないような上質なドレスで…ふわふわとしたオーガンジーは、さらさらとした肌触りが気持ちよく…メインの生地はシルクで…
「私に似合うの?」
と、思わず口に出してしまう程のものだった。
恐る恐るドレスを箱から出して…汚してしまわないように、鏡のあるバックヤードまで持っていく。
意を決して、鏡の前の自分にドレスを当てる。
「わあ…」
箱の中にある状態よりも、広げたドレスはとても綺麗で…
誘われるように服を脱いで、ドレスを着てみた。
鏡の中のドレスを着た自分を見る。
レオ様は魔法使いなのかもしれない。
メイクもさっぱりで…髪もそのままなのに、このドレスだけで、パーティーに行けるような気がしてきた。
プリンセスがわざわざ招待状をくださって、レオ様もお忙しい中…ダンスを教えてくださって…。
わざわざドレスまで…
場違いだと恥ずかしい思いをしてもいい。
プリンセスとレオ様への感謝を込めて、パーティーには必ず行こう。
アラン様にもお会い出来るかもしれないし。
アラン様…お会いしたいです。
あの日のキスを、私はふしだらにも忘れることが出来ません。
パーティーに私が居たら…驚きますか?
レオ様のあの愛しい方への想いが溢れた紅い瞳を思い出す。
アラン様の瞳の先に…私が映ることができますように。