第2章 洗脳ハートⅡ「心配だから」
午後から緊急任務の令が出たらしい。
土方の話によると、敵は最近岐で騒ぎ始めたテロ集団。
以前から目を付けていた組織だったので
張り込んでいた山崎から緊急報告が来たのだ。
今日はそのテロ集団が何でも他の組織と
武器調達の為の取引を行うらしく
その場所に何人かで先回りし、張り込んで
攘夷浪士達を捕まえるらしい。
だが生憎、今日は殆どの隊士達が出回ってしまっていて
残ってるのは土方、沖田、真衣の他に巡回組と
一番隊は数える程度しかいない。
「山崎の報告によると今朝、取引が決まったらしい。」
「随分、急なんですね。」
「でも一番隊は殆ど局長と別件で出払ってまさァ。」
「あぁ。奴等もそこを狙ってきたのかもしれねぇ。
だが、だからといって見逃す訳にもいかねぇからな。」
屯所の廊下で土方の話を聞いていると
真衣は先程、沖田から受け取った携帯を握り締め
背中にひんやりとした空気がつたうのを感じた。
「屯所をまるっきり空にも出来ねぇから
向かわせる隊士も少数に限られる...」
「じゃあ行ってこいや。土方コノヤロー」
「少数っつったろ今!何で単独なんだよ!!」
あれ?今、真剣な話だったよね?
沖田の軽い一言で場の空気が壊れる。
こんな時でも冗談なのか本音なのか分からない
悪態をつく沖田に怒りながらも土方が話を戻した。