第2章 洗脳ハートⅡ「心配だから」
「この場にいる俺達のみで向かう。
残りの隊士達は屯所で待機させる。」
「さ、三人、ですか...相手の数は?」
「山崎に張り込ませている方は二十数人。
だが取引側の組織までは不明だ。」
「だ、大丈夫なんですか!?」
「今回は片がついたら近藤さん達が応援に来る。
それまでは何としてでも食い止めるんだ。」
「大丈夫でさァ。真衣の腕は俺が保障するぜィ」
「沖田さん...」
真衣は今回が初めての攘夷取締なのだ。
隊士が足りてない今、少しでも力にならないと。
乱闘になって刀を使う事になっても、一番隊隊士として
出遅れてはいけない。やり遂げるんだ。そう決心を固めた。
「真衣、行けるか?」
「はい!勿論です。」
土方の問いに真衣は二言返事で返した。
説明が終わり、それぞれの配役を言い渡すと
土方はポケットから取り出した煙草に火をつけた。
「車を回すから三分で用意しろ。直ぐに向かうぞ。」
「もう出来てやす。」
「はいっ!」
一言告げると加え煙草で先に歩いていった。
「お前に怪我なんて負わせねぇから安心しろィ。」
土方の背中がすぐに小さくなったのと同時に
沖田はおもむろに真衣の頭をくしゃっと撫で
そのまま屯所の門前に向かう。
「ぇッ...?」
何事かと真衣は驚き、一瞬目を見開くが
時間が無い事に気付き、慌てて沖田の後を追った。