第1章 洗脳ハートⅠ「気付いた事」
ありえねェだろ今の...
俺がこんな子供みてぇな女に
触れられたくらいでびくつくなんざ
そういやぁ、こいつの腕って細いんだな。
透き通った色白で細いのに柔らかみのある手
手だけじゃない。
足腰も細く肩幅だって俺より全然狭くて
真衣のその小さな体を包みたい。
「沖田さん?」
真衣に覗き込むように顔を見られながら
名前を呼ばれるとはっとして我に返った。
「......何でィ。」
出来るだけ平常心を保ち
さっきまでの妄想を思い出さないよう
平然と口を動かした。
「もしかして、体長悪いんです?」
「は?何でそーなんでィ。」
「だって、顔真っ赤ですよ?」
真衣の言葉に初めて自分が
赤面している事に気付く
「勝手に見てんじゃねぇよ。」
沖田は服の袖で口元を隠し顔を背けようとしたが
そんな沖田の内心に構い無く
熱あるんじゃないですか?
なんて言葉を続けて真衣は
沖田のデコに自分のデコをつける。
「なッ....!」
一気に血圧が上昇して鼓動が跳ね上がる。
流石に沖田もこの行動は予想していなく、
抵抗する余地も与えなかった。
するとデコから伝わっていた感覚がゆっくり離れていく
心内で一息ついてから目の前で同じ目線の位置に
しゃがんでいる真衣を見た
「微熱があるみたいですよ?」
「...ンなもん、無ぇや。」
眉尻を下げ心配そうに伺っている。
それを見るなり沖田は急にすっと立ち上がり
真衣の心配を余所にすたすたと歩き出した。
「ちょ、何処行くんですか?沖田さん!?」
「書類整理。」
「ぇっ?」
真衣の言葉に一言だけ返すと
沖田はその場を去って行った。