第1章 虹村家の娘 1
彼らに彼女がいたらこれを持ち歩くだろうが、これは未開封だ。
そもそも2人に恋人だとかが居るのだろうか?
私の知る限り、そういうような人は居ない。
億泰はモテないし形兆はあのうるさく騒ぐ女子達が嫌いなのだ。
だとすると…億泰が遊びか何かで買わされたとか?
不意に、今日億泰からキスをされたのを思い出し、まさかね…と思いながら、箱を見なかったことにしようと冷蔵庫にしまいかけた時だった。
「おい」
「うわっ!?」
うしろから突然声をかけられ、驚いて箱を落としてしまった。
素早く振り向くと、居たのは兄である形兆。
「何時までも冷蔵庫開けっ放しにして何見てたんだ」
そう言って私よりもはやく箱を拾い上げてしまった。
なんとなく気まずくて、私はそっと冷蔵庫をしめた。
「ほぅ…なんだ、もう見つけたのか」
パッケージを一瞥して、にやりと笑う。
「あ…それ形兆のだったの」
私の問いには答えず、いきなり学ランを脱ぎ出す形兆。
「ちょうどよかった…今イライラしてるから、少し付き合ってもらうぞ」
「?な」
何が何だか分からないうちに、気がつくと視界には天井が広がっていた。
私の上に形兆が馬乗りになって、箱を開けている。
「え…え!?」
焦って逃げようとするも、箱を開け終えて空いた片手で首元をグッ、と押しつけられてしまい、身動きを封じられてしまった。
太くたくましい腕で押さえつけられ、息苦しいのと痛いのとで体に力が入らなくなる。
「っ…!う、ぁっ…!」
「市販のゴムは小せぇからあんま好きじゃねぇんだがな…」
私の嗚咽をものともせず、ピリリとゴムの袋を口で破く。
「っ…けい…ちょ、やめ…」
私の言葉が聞こえているのかいないのか、手にしているゴムを傍らに置くと、ずるり、と私のズボンを片手で下ろしていく。
苦しいし痛いし怖いしで涙がにじんできた。
形兆の荒い吐息が近づいてくるのが分かる。
「その顔、すげぇそそるなァ…」
す、と首元から手がのけられ、代わりというように唇を押しつけられた。
「んっうう…っ!ん、んっ…!」
噛みついて、貪るような深いキス。
体格差もあって抵抗のしようがなく、されるがままになるしか無かった。
形兆の舌が私の口内を激しく犯していく。
「はぁ…っ!は、んん…!」
舌を絡ませながら、器用に私の下着を下ろす。
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