第6章 虹村家の娘 6
そして、杜王港。
そこでは、なんとあの音石と仗助の戦いが繰り広げられていた。
少し離れた所に康一もいる。
しかし、なぜ音石まで杜王港に?
「お前はここに隠れてろ」
形兆は私を彼らの死角となる場所に押し込み、つかつかと音石の方へ歩いていった。
「!テメー…形兆じゃねぇか!」
「あ…アンタなにしてんスか!?」
仗助と音石の驚きの声。
しかし、私が驚いたのはその次の声だ。
「てめぇ、よくも人のモンに手ぇ出してくれたな」
聞くだけで痺れるほどの、低い声。
今まで聞いたことの無い怒りのこもった声。
が、音石はその怒気をものともせずあのふざけた態度で言葉を返した。
「ハッ、あんな小娘一匹になぁにマジになってんだよォ!ま、お前ら兄弟としては?馴れ合いが過ぎると思うけどなァ?」
形兆がスタンドを出したのが気配で分かる。
「へぇ…俺、言ったハズだよなァ?…テメーの大事なだぁ〜いじな妹、どうなっても知らねぇぜ」
途端、バッド・カンパニーの激しい銃声と電気の弾ける音がぶちまけられた。
ざ、と私の後ろに人の足音が鳴った。
その足音に気付いたのは、私だけだった。
素早く振り向くと、私と同じくらいの背丈の学ランを着た少年がたっていた。
ベルト風の装飾が目立つ。
それに、額にネジのようなものがあった。
「...まさか、あの時の...!」
スタンド。今度はこの少年に化けてきたようだ。
「待ってくれ!俺はアイツにそそのかされてただけなんだ...」
「音石に...?」
「あぁ。次悪さをしたらどんな目にあうか...今、俺の本体は入院してる」
そして私に近寄り、私の手を取った。
「アンタをどうにかする手助けをしちまったんじゃないか、不安でさ...俺、アンタには何もされてないしな。だから、罪滅ぼしのつもりでアンタの手助けに来た」
そう言い終わった彼の姿は、私の姿そのものになっていた。
「俺とアンタ、少し似てるな。俺のスタンド能力は、見た目をコピーすることなんだ」
「コピー...そ、それでどうするつもりなの?」
「虹村形兆の弱点は、...アンタだ。音石もそれを知ってる...この姿で飛び出すから、アンタは出来ることをすればいい」