第6章 虹村家の娘 6
「今から仗助の家に俺のスタンドで宣戦布告をする…おい、スタンドしまいなよォ」
従った方がいいと察知し、スタンドを消した。
宣戦布告だと?
「俺のスタンド…よ〜く見てな」
音石はテレビに顔を向け、スタンドをテレビの方へ移動させた。
と、テレビのコンセントへスタンドが吸い込まれてゆく。
「え…!?」
呆気に取られる私をまたも鼻で笑い、話を続ける。
「アレが俺のスタンド能力さ!電気になる能力…ほ〜ら、仗助の家のテレビの中に侵入してやったぜ」
こちらのテレビには、仗助の家のテレビから見た風景が映し出されている。
仗助のスタンドと音石のスタンドが対峙している様子が見て取れた。
「何が…何が目的だ…」
知らず知らずのうちに零れた言葉。
音石はテレビの中の仗助を見ながら答えた。
「邪魔者は消さねーとなんねぇんだよ」
少しの間、ぼぅっとテレビを見つめていた。
映っているものを見るでもなく、ぼぅっと。
やがて音石のスタンドがコンセントから戻ってきた。
「所でよォ〜、まだ気づかねぇのか?」
「…何が」
「俺、あの日お前に会ったんだぜ」
「…あの日?」
こんな奴、会ったことないはずだが。
「弓と矢、引き取りに来た財団員だよォ!ま、アレは本物から盗んだ服だったけどな」
ようやく分かった。億泰が胡散臭いと言っていたあの財団員だ!
「おッ…お前だったのかよ!?」
音石はケラケラとさぞ愉快そうに声を上げた。
私にとっては不愉快でしかない。
「あぁそれと…仗助に形兆の野郎にって伝言頼んどいたから安心しろよォ?『おまえの大事な大事な妹預かってるぜ』ってな!」
そしてまたケラケラと先ほど以上に声を上げる。
私は人質として連れ去られたのだ。
そしてこいつに逆らえない…なんて事だろう。
形兆心配してるよなぁ絶対。
「形兆も馬鹿だよなァ?自分で作ったスタンド使いに妹を取られるなんてさァ」
形兆は馬鹿じゃない。
口に出す代わりに、反射的に睨みつけてしまった。