第5章 虹村家の娘 5
「!?えっここ学校…!」
慌てて形兆を静止しながら、この教室に連れ込まれた時点で気づくべきだった、と心の中でため息をついた。
「…舌ぁ、出せ」
形兆相手にスタンドを使うのも気が引ける。
とはいえ、このままここで、というのも避けたい。
両手首を押さえつけられ、足の間に体を入れられてしまっているので暴れての反抗はできそうにない。
せめてもの拒否の意を表すには、思い切り顔を背けるしか無かった。
「チッ…聞いてんのかぁ?おい」
当然、形兆は気を悪くして顔を近付けてくる。
小さいため息が聞こえ、諦めてくれるのかと思った矢先に耳の中へ生ぬるいものを感じた。
ぴちゃ、ぐちゅ、といういやらしい水音が耳に滑り込んでくる。
耳の中に舌を這わされ、反応したくないのに感じてしまう。
「は、あっ…!」
形兆は仕上げだと言わんばかりに息を吹きかけると、ようやく顔を離す。
「どうだ?そういう気分になったか?」
挑発的な形兆に、体の火照ってしまった私は屈辱を感じながらもおずおずと舌を突き出した。
「ん、んんっ…!」
満足気な笑みを浮かべた形兆は、私の舌に自分の舌を絡めて口の中へと押し込んでくる。
歯茎や天井を形兆の舌が愛撫する度に、背中にぞわぞわと小さく快感を感じては声を抑えていた。
「声、出していいぞ…抑えんな、出せ」
スカートの中へ手を忍ばせて、形兆が呟く。
内ももを掠めるようにして撫でられ、微かに声が漏れてしまった。
と、形兆が動きを止める。
「お前…気付いてないんだろうが…痕、丸見えだぞ」
「…え?…!あ、あっ!?嘘っ!?」
慌てて首元を触って確認する。
しまった…!いつもは詰襟で隠せてるけど、セーラー服じゃ隠せないの、すっかり忘れてた…!!
「俺のつけた痕、そんなに見せびらかしたかったのか」
クックッ、と声を上げて笑う形兆に、ちがうから!と返すが、あまりにも嬉しそうにするので何だか怒る気持ちが無くなってしまう。
「…そんなに嬉しいの?」
「こーゆーのを隠さねぇでいてくれる方が、余計な輩も寄ってこなくていいしな…それだけじゃあねぇがよ」
分かるような分からないような…。
「それにしてもキレーに残ってんなぁ」
つつ、と痕をなぞるようにして形兆の舌が私の首筋を這う。
収まりかけた熱が再び舞い戻ってくる。
「…っあ…」