第4章 虹村家の娘 4
その顔が見れなくて、声を必死に抑えて僅かに見える床に視線を置いていた。…が、
「…おい、どこ見てんだよ…」
イラつきの混じった声で、髪をつよく引っ張られ、無理矢理目を合わせられてしまった。
空いている片手を私の顔に添え、固く閉じている口へ親指を割り込ませてくる。
「…!!っあっ、や、あぁっ、んっ、い、あぁあっ!」
懸命に抑えていた声が溢れ出し、それを聞いて形兆は嬉しそうに笑った。
「可愛い…可愛いな、お前は…」
そのまま顔が近付いて、形兆の舌が私の唇をなぞる。
形兆は舌を口の中へ入れて激しく絡め、わたしの中から指を引き抜いたかと思うとするりと私の太ももへ手を這わせた。
「なぁ…このままじゃ、駄目か?」
いつになく切ない表情で苦しそうに聞く。
「このまま…?って?」
「いや…なんでもねぇ」
形兆は軽く溜息をつき、無造作に近くのテーブルへ手を伸ばしてゴムを手にした。
それを開けようと口に咥え、ピタリと動きを止める。
と、私の腰に手を回して抱き起こすと、改めてソファの背もたれに寄り掛かり、私を膝の上に座らせた。
こうしてみると、形兆との体格差がよくわかる。
膝の上に乗っていても頭1個分くらい高さが違う。
あぁ、やっぱり男の人なんだ…それも年上の。
形兆は私の腰から手を離さずに、もう一方の手だけでゴムをつけ終えた。
「力抜いてろよ…」
両手で腰を掴まれて体を上に持ち上げられ、思わず形兆の肩に手を置きバランスをとる。
突然体が落ちて、ズン、と私の中の奥まで形兆のソレが一気に貫いた。
「っああああぁぁぁぁっ!!」
耐え難い快感と痛みが押し寄せ、形兆の体にしがみつくようにして体を震わせる。
形兆は背中と腰に手を回し、私の体を自分の体に押し付け、ゆっくりと腰を揺らす。
ふー、と熱い吐息が耳にかかり体がビクついた。
「っはぁ…締めるな、力抜け…」
いつものような激しさはないけれど、酒のせいとはいえ優しく甘くされて、体中が快感に打ち震えている。
ゆるりと出し入れされるソレが異常なほど気持ちよく、息は荒くなり、上ずった声がちょくちょく漏れた。
形兆の温かい手の感覚が、私の中に出入りするソレの感覚が、たまらなく愛しく思えてくる。
静かな部屋に響く水音と二人の吐息が混ざり合い、鼓膜までをも快感に引きずり込んでいく。