第4章 虹村家の娘 4
1時間ほどして、億泰から電話で仗助の家に泊まると伝えられた。
仗助と康一とは和解し、私も普通に接している。
だが、泊まりは図々しくはないか…?と心配しながらも、あの愛想の良さからして仗助の母親から気に入られたんだろう、と安心する自分もいる。
「形兆、今日億泰泊まってくるって」
受話器を置いて声をかけると、興味なさげにふぅん、とだけ呟いた。
が、ちらりとその目に何かが光ったのを私は見逃さなかった。
泊まり、すなわち今日は誰もうちに来ない。
床で行為に及んだせいで腰が痛いが、多分今夜はそういうことになる気がする。
痕をつけられた場所もヒリヒリと痛む。
夕飯を済ませて一息つき、寝る支度をしていると、形兆が私の所へ来た。
ソファに腰掛けてぼぅっとしていた私の真正面に立ち、私の足の間に膝を割り込ませてずい、と体を預けてくる。
何も言わずに背中に手を回せば、じわじわと温もりが伝わってくる。
「…愛してる」
低く色っぽい声が耳をくすぐった。
改めて言葉にされたそれは、ストン、と私の心の中にはまりこむ。
「愛してる、好きだ」
私の頭に手を添え、優しく押し倒す。
その時、ある異変に気付いた。
嗅いだ覚えのある、独特な匂い。
酒の匂いだ。
「…形兆、お酒飲んでない?」
「あ?…さっき飲んだ」
酔ってるのか…でなきゃあんなことちゃんと言ってくれるわけないか。
たどたどしい手つきで私の服のボタンを上から順に外していく。
未成年でよく酒を買えたなぁ、とぼんやりと考えながらその手をながめていた。
全てのボタンを外し終わると、下着を付けていない私の胸に、そっと舌を這わせる。
チロチロと胸の飾りを舌で弄ばれ、悩ましい快感に襲われ声が漏れた。
ズボンの上から秘所に形兆の指があてられる。
ゆるゆると弱い刺激がもどかしく、自分の息が荒くなるのがわかった。
「どうした?そんな顔をして…直がいいのか?」
恥をしのんで小さく頷くと、胸を強く吸われて下着の中へ指が入りこんできた。
待ち焦がれた快感に、体が大きく跳ねて声が飛び出す。
「っひ、あぁっ…!」
その声を聞いて気を良くしたのか、一気に指が私の中へねじ込まれた。
「いっ…!あ、んあぁっ!」
形兆はいつの間にか胸から口を放し、指の感覚に喘ぐ私を熱のこもった視線で見下ろしている。