第16章 魔王様と冬【クリスマスイブ編】
夜になりグラビ、プロセラの出演する音楽番組が始まった。
共有ルームの大きなテレビの前に白田たちと椅子に座る。
始めの方に歌い終わると暫くは楽屋で控えだと聞いていたので、曲が終わると私はコートとマフラー、手袋を身に付け寮を出た。
「寒い…」
雪は止んだけれど、昼間よりもひんやりしていた。
私は歩いて駅を目指し、○○局へと向かう。
少しだけ遅れていた電車は目的地から近い駅で降り、駅から直ぐの○○局に無事に着いた。
入館書を提示し中に入ると指定されたスタジオへと向かった。
ガチャリ…
スタジオの扉を開けるとそこには沢山のカメラにスタッフさん。
「あれ…?」
間違えたのか、もう一度入り口を確かめる。
カードに書かれたスタジオはここだった。
隼くんに聞こうも、楽屋すら知らない。
「小春」
帰ろうと思った時だった。
名前を呼ばれ振り向けばそこには隼くんの姿。
その後ろにはプロセラ、グラビの皆が立っていた。
「来てくれてありがとう」
隼くんは私の前に立つと頬に手を伸ばしてくる。
「今日はクリスマスイブだね…僕たちから小春にクリスマスプレゼントを用意したよ。さあ、おいで…」
隼くんは私の手を引きながらスタジオの中へ進んだ。