第16章 魔王様と冬【クリスマスイブ編】
【隼】
次の出番があるスタジオに向かうと入り口の前に立っていた小春。
スタッフさんたちしか居なくて帰ろうとしていた小春に声を掛けた。
頬はチークの上からも目立つほどに赤くなり触れれば冷たい。
手を引きながら暖かいスタジオに入る。
用意されたステージの前には一脚の椅子。
小春の為に用意してもらった。
僕は皆と仕事だし、何もしなくたって賑やかな場所にいる。
けれど小春は誰も居ない寮に独りきり。
クリスマスイブ
そんな日に小春を1人にはさせたくなかった。
『生放送のスタジオに小春を呼びたいな…』
打ち合わせで言えば皆が賛成してくれた。
僕たちから小春へクリスマスプレゼント。
小春の為のステージ。
「メリークリスマス」
メリークリスマス、小春。