第16章 魔王様と冬【クリスマスイブ編】
12月24日、クリスマスイブ。
「いってらっしゃい」
私は皆を見送るといつものように掃除に洗濯と雑務をこなす。
空を見上げると、太陽は雲で覆われ、今にも降ってきそうな天気だった。
雨が降る前に…と、ほうきを手に取り玄関前の掃除をする。
玄関の扉の向こうでは白田や黒田たちが並び外の様子をじっと眺めていた。
ポツっ……
顔に落ちる一粒の固まりは体温で溶けていく。
「雪…」
雨と予報されていた天気は雪へと変わり空からゆっくりと降っては消えていく。
室内へと戻り、共有ルームに行くとテーブルに置かれてある一通の封筒。
白い封筒に赤、緑とクリスマスを連想させるカラーで彩られていた。
「何だろ?」
封筒には小春へと書かれてあるだけ。
中を開くとそこには
『小春へ
21時○○局、○○スタジオへ
白の魔王様より』
ただそれだけのメッセージ。
「隼くんから…」
○○局は今日の夜、グラビとプロセラが出演する音楽番組があったはず。
21時はまだ、その音楽番組の放送が終わっていないはず。
カードと一緒に○○局の入館書も入っていた。
頭の中はクエスチョンマークだけが浮かんでいた。