第16章 魔王様と冬【クリスマスイブ編】
【隼】
この時期、プロセラだけではなく、グラビも忙しい。
各局の音楽番組のスペシャルや、トーク番組。
ドラマが終了すると、毎日が特別番組ばかりだった。
始と一緒の番組は嬉しいんだけど…
「ただいま、小春」
仕事が終わり、ツキノ寮に帰ってくると夜遅い時間。
メンバー全員が18歳を過ぎた今、以前よりも長い時間アイドの霜月隼でいる。
その分、小春とは一緒にはいられないのだ。
この寒い時期、「寒かったでしょう?」と、温かいスープを作り待っていてくれる。
僕だけでなく、皆の為に。
そして、共有ルームに飾られているクリスマスツリー。
京都の家にもあったけれど、この賑やかなツキノ寮のツリーはとても明るいツリーに思えた。
小さな頃は小春とプレゼントを楽しみに待っていた。
ああ見えて小春はサンタさんを信じていた。
僕は早いうちからサンタさんの正体は気づいてはいたけれど、小春には内緒にしていた。
いつからか、小春のサンタさんは僕の役目に。
さり気なく欲しいモノを聞き、毎年クリスマスツリーの下に置いていた。
「今年はどうしようか?」