第15章 魔王様と冬【こたつ編】
「お待たせしました」
「おでん、出来ましたよ」
グラビの皆さんは1日仕事なのでここにはプロセラメンバーと私しか居ない。
夜くんと作ったおでんを皆の元へ運ぶ。
「こたつって、こんなにも良いものだったんだね…」
「隼の場合、ますます停滞モードに入りそうだけどな」
「酷いな~海は」
「隼、起きろ~。おでん無くなるぞ」
皆で1つの鍋を囲む。
これが庶民の当たり前なんだと海さんは言った。
「僕たちには無縁だったよね?小春」
「話は聞いたことがあったんですけど…」
霜月家にも、私の家にもこたつは無く、こたつで鍋も未知の世界だった。
「こたつでおでん…美味しいね…」
ダシが染みた大根に卵、昆布に竹輪…
大勢で囲んだ鍋はあっという間に底が見えてしまった。
「今度はグラビも誘って一緒に鍋すっか!」
陽くんの提案に皆が賛成した。
「でも、あの人数だと小さいですよね…こたつ」
「皆入れない」
今の人数でギリギリ皆入るこたつ。
これ以上大きいものはここには無かった。
「僕が買ってあげる…」
隼くんはどこからか一枚のカードを取り出した。
「こたつはこれで買えるよね?海」