第15章 魔王様と冬【こたつ編】
【隼】
外は寒くなり、吐く息は真っ白。
「こういう日は寝るのが一番良い…」
「んな訳あるか!隼、起きろ!今日は仕事なんだぞ」
「寒いから働きたくないな…」
「それはいつもの事だろ」
寒いのにわざわざ海が僕を起こしにやってくる。
「今小春が温かい紅茶淹れてくれてるぞ…要らないのか?」
「飲むに決まってるじゃないか…ここで」
「ベッドから離れろ!」
バサッと海がシーツを引き離す。
「海、寒い…」
「冬だから仕方ない。さっ、いくぞ!」
「え~…」
渋々着替え、海と共に共有ルームに向かった。
すると、そこには見なれない物が置かれていた。
「海、あれは何だい?テーブルに布団が掛かってる…」
「は!?隼、こたつ知らないのか!?」
「こ…たつ?」
僕の実家も小春の家でも、こたつと呼ばれる物を見たことは無かった。
「隼、こたつ知らねーの?マジ?」
「暖かいですよ」
「眠たくなっちゃう…」
陽、郁、涙はこたつの中で寛ぎながら僕を向いた。
「こたつに入ると動きたく無くなるよな~」
「みかんとかついつい沢山食べちゃいます」
「zzz…」