第13章 魔王様と寂しさ
【隼】
収録が終わりスタジオを出る。
「お疲れ様でした皆さん」
「お疲れさん」
出迎えてくれた奏と大。
しかし、2人と居たはずの小春の姿は無かった。
「ねえ、小春は?」
「帰ったぞ、仕事があるからって」
「そう…」
残念…
感想を聞こうと思ったんだけど…
帰ってからになっちゃうね。
「そうだ、ねぇ大。仕事終わりに紅茶が飲みたいな」
「帰ったら小春に淹れてもらうんだろ、隼」
「海、僕は大が買ってきてくれた紅茶が飲みたいんだよ?」
「はいはい…そうですか」
大が買ってきてくれた紅茶を飲み、着替え皆で寮に帰る。
迎えてくれたのは白田たち。
共有ルームも自分の部屋にも小春の姿は無かった。
キッチンには小春がいた形跡はあったが時間が経っていた。
電話を掛けてみても通じなかった。
「どうした隼?」
「小春が居ない。電話にも出ない…」
「買い物に行ってるだけじゃないのか?」
作りかけだし…海が心配するなと、言うけれど
胸がざわついていた。
小春がどこかに行ってしまいそうで
二度と会えないような…
そんな気が…
「迎えに行ってくる」
「迎えってどこにだよ!?」
僕は帰ってきたばかりの寮を飛びだした。