第18章 彼の為なら。・:+°家康。・:+°
「久々に会えた家康に・・・自分が一番して欲しい事をしようと思ったの。」
先に抱きしめられちゃったけどねと夕霧が笑う。
その笑顔が綺麗で衝動的に強く抱きしめた。
「あんた、本当に可愛過ぎ。」
家康は深い深い口付けをしながら思った。
やっぱり置いていかなきゃよかった。
「・・・んっ・・・家康?」
首筋から下へと滑るように口付けを落としていく家康に落とされた声。
それはいつものような快楽を受け止めるそれとは違って。
「・・・何?」
家康がピタッと動くのを止め、視線を夕霧に向ける。
何?嫌なの?
夕霧がこの明らかにタイミングが悪い時に声を掛けたのには理由があった。
夕霧は家康から体を離し、ぺたんと座り込み上目遣いで家康を見つめる。
今から夕霧が何を始めるのか全く分からない。
動揺を無理矢理抑え、平静を装う。
家康を見つめるその顔はどこか妖艶で、いつもの夕霧とはまた違う色香を感じる。
夕霧は目が合ったまま家康の首に腕を絡め顔を近づけた。
心臓がバクバクと音を立てている。
体が近づいた事によって自分だけではない事に気づいた。
二人分の心臓の音は外にまで聞こえるんじゃないかと思うくらい煩く鳴っている。
家康がゴクリと息を呑んだ音が聞こえた後、夕霧が耳元で甘い吐息と共に囁く。
「------------------」
「っ・・・」
家康が慌てて顔を離すと夕霧と目が合う。
「お願い・・・見ないで・・・」
今々あんなに妖艶な顔で自分に迫ったとは思えない程に真っ赤に頬を染め、俯く夕霧に家康は肩をすくめる。
言った本人が恥ずかしがらないでよ。
クスッと笑うと家康は夕霧の耳元でこう囁いた。
「言ったからには手加減はしないよ・・・あんな誘い方したんだから覚悟は出来てるんでしょ」
その言葉に夕霧は更に頬を赤くした。