第18章 彼の為なら。・:+°家康。・:+°
可愛い・・・
三人から声は漏れないものの思っている事は同じであろう。
くっそー。何で相手が家康なんだよ・・・こうなったら・・・
政宗の左目が怪しく光る。
「夕霧。跪いて上目遣いでこう家康に言え。」
政宗の潜ませた声が耳を掠めていく。
「------------------」
「っ・・・」
「やめろ政宗。夕霧には刺激が強すぎる。」
耳元で囁いた言葉が聞こえていたのか、秀吉が制する。
「秀吉、止めるなよ!男のして欲しいことなんだから間違ってねえだろ。」
「そういう事じゃないだろ。夕霧を見てみろ・・・」
三人が視線を送るとこれ以上は赤くなれないと言うほど顔が真っ赤になった夕霧の顔・・・
「ほら見ろ政宗。・・・夕霧悪いな。ちゃんと考えるから」
「・・・お願いします。」
悪い悪いと言いながら初めに答え始めたのは政宗だった。
「そうだな・・・帰ってきた途端に抱きついて嬉しそうに尻尾ふってくれりゃ俺は最高だがな。」
それもいいな、といいながら秀吉も答える。
「俺は俺に対する想いを文にでもしたためてくれたらうれしいな。」
そんな事かと言わんばかりにククッと笑いながら光秀も口を開く。
「自分がされたら嬉しい事を同じ様に返してみろ。自分がされて嬉しい事は相手も喜ぶぞ。」
その言葉に驚いて光秀の顔を見た秀吉と政宗の口はポカンと開いている。
「お前が真面目に答えるとは思わなかった・・・」
「そうか?俺はいつも至って真面目だが。さて・・・信長様に酌でもしてくるか。」
光秀はフッと笑うと席を立つ。
「自分のして欲しいことそっくりそのままを返せよ。」
夕霧の耳元でボソリと告げて信長の元へと向かっていった。
そっくりそのまま・・・
「今日の光秀はどうかしたのか?」
秀吉に尋ねながら酒の代わりに注いでもらったお茶を一気に飲み干す。
「酒に酔った訳じゃないと思うが・・・」
秀吉も答えつつ盃に口をつける。
「まぁ、夕霧をからかうつもりが不満の一つも聞けなくてつまらなかったって所だろうな。気持ちは分かるが・・・」