第15章 文。・:+°秀吉。・:+°
部屋に通されると文机で書簡を整理している秀吉が目に入った。
夕霧は秀吉の邪魔にならない様に少し離れた場所に座る。
「よく来たな。夕霧」
優しい笑みを浮かべ、迎え入れてくれた人の顔を見てつられて微笑んだが、微笑んだ後に襲うのは緊張と不安。
今から全てをカミングアウトしなければいけない。
ずーっと知ったかぶりで通してきたという事実も伝える事になる。
秀吉さんからももらってたな・・・文。
読めてませんなんて言ったら傷つくよね・・・
でも、これ以上の知ったかぶりはダメゼッタイ。
恥を忍んで秀吉さんに教えてもらわなきゃっ!
秀吉は書簡をある程度片付けてから立ち上がると夕霧の前で胡座をかき、夕霧の顔を覗き込んだ。
「どうした?えらい真面目な顔して。」
「な・・・何でもない・・・っ」
そんな事言うつもりなかったのに・・・つい思ってもいない言葉を発してしまう。
秀吉は髪を撫でながら優しく語りかけた。
「そんな顔して何でもないは無いだろう。ちゃんと言え、夕霧。」
うーっ・・・秀吉さんには叶わない。そんな顔で見られたら言わなきゃって気になっちゃうよ・・・
言えないと思っていた言葉を紡ぎやすいような空気にしてしまう秀吉さんは本当に凄い。
その空気に押され夕霧はぽつりぽつりと話し始めた。
「あのね・・・実は・・・」