第12章 百物語。・:+°政宗ルート。・:+°
「すっごく落ち着いた。ありがとう。でも・・・」
抹茶茶碗を見つめていると苦笑いが零れる。
これ、秀吉さんが見たら怒るよね。
500年先でも信長様や秀吉さんが茶器コレクターだったって言うのは有名な話で。
信長様はこういう所柔軟そうなんだけど・・・
秀吉さんは牛乳を抹茶茶碗に入れたなんて知ったら激怒しそう・・・。
「もしかして秀吉の事を考えてんのか?」
「え?」
何でわかるの!?
「こんな事したら茶器を愛しているアイツなら激怒だろうな。」
くくっと政宗が笑う。
「なんだ?おかしな事言ったか?」
「ううん。全く同じ事考えてたから当てられてビックリしたの。」
何だか嬉しくてふふっと笑みが零れる。
その頬をむにっと掴まれる。
「いつものお前に戻ったな。この顔が一番落ち着く。」
「まひゃむね・・・いひゃい・・・」
「あ、悪ぃ。」
頬の手は離してもらえたが今度は腰に手を回され、ぐいっと引き寄せられる。
「わっ・・・待って!零れちゃう・・・」
慌てて盆に抹茶茶碗を置くと更にきつく抱きしめられる。
「落ち着いたんだから、もう好きにしていいよな?」
「え?落ち着いたからこそ寝るんじゃ・・・」
「落ち着いたからこそ・・・だ。乱れたらまた落ち着くようにほっとみるくを作ってやる。」
「えぇ!」
眠気を誘うはずのホットミルクも政宗の前では意味も無く。
政宗から与えられる快楽を受け止めるしかない夕霧であった。
終