第12章 百物語。・:+°政宗ルート。・:+°
「なぁ・・・」
褥に横になり、相向かいになった政宗が口を開く。
「こういう事よくあるのか?」
「たまに・・・でも今日は政宗のおかげでまた眠れそうな気がする。」
「そうか。・・・じゃあ、500年先の俺がいなかった時はどうしてたんだ?」
「スマホって機械で時間を潰したり・・・あとは・・・ホットミルクかな?」
色々なよく分からない言葉ばかり並んでいたが、中でも一つ気になる言葉を政宗は口に出す。
「ホット・・・ミルク?」
「あ・・・ごめんごめん。温かい牛乳の事だよ。ホットが温かい、ミルクが牛乳って意味。」
「牛の乳か・・・昔、飲むと牛になるって迷信があったな。」
「え!?ならないよっ!!」
政宗はクッと笑いながら答える。
「知ってる。幼少の頃信長様が本当に牛になるか試されたそうだ。・・・結果は見ての通りだな。」
「ふっ・・・あははっ」
夕霧はつい吹き出してしまった。実に信長様らしい。
「・・・で?それを温めればいいのか?」
「うん。私はそれに蜂蜜を入れて飲むよ。牛乳って温めると膜が張るんだけどそれが嫌いで。」
「ふぅん。膜が張るとは不思議だな。」
政宗の目は好奇心でキラキラ輝いているように見える。
「ホットミルクって気持ちを落ち着かせたり、眠気を誘うんだって。」
「そうか。この時代は牛乳を飲む習慣があまりないからな。手に入ったら飲ませてやるよ。」
「ありがとう。」
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目の前に出された抹茶茶碗にはホワホワと湯気が立ち上がっている。
「冷める前に飲めよ。」
「ありがとう。いただきます。」
抹茶茶碗を持ち上げるとほのかに甘い匂いが鼻先をくすぐる。
こくりと一口口に入れる・・・
「おいしい・・・」
「お前が飲んでたのと同じ味か?」
「ううん・・・ それ以上においしいよ。」
その言葉に政宗の口元が緩む。
「今夜は色々あったから興奮してるだろ。」
あ、それも覚えてくれてたんだ。ホットミルクの効能。