第1章 夏祭り。・:+°信長。・:+°
そう言って包を取り出すと信長に手渡す。
「喜んで下さるといいんですけど・・・」
渡した包をカサッと開いた信長の口元が緩む。
「なかなかいい土産だ」
そのまま一つをコロンと口に入れると残りが入った包をそっと床に置いた。
「夕方、秀吉さんがお祭りに連れて行ってくれたんです。」
「秀吉か・・・」
そう呟くと信長は夕霧に深く舌を捩じ込ませる。
「んっ・・・」
夕霧の口の中に金平糖の甘さが広がる。
・・・秀吉の事だ。祭りに行けず曇った夕霧の顔でも見て堪りかねて連れていったのだろう。
絡めた舌をチュッと軽く音を立てて吸い唇を離す。
離れた瞬間にこくんと夕霧が喉を鳴らした。
でも、何故か胸が騒ぐ・・・。
「信長様・・・?」
呼ばれた名前に応じるかの様に再び舌を差し込んだ。
差し込んだ舌で探し当てた夕霧の舌を捕らえ、その舌で歯列をなぞると夕霧の肩がピクッと震えた。
分からない感情のせいでつい激しく夕霧に口付けをしていることに気づき、優しく啄むように唇を首元や耳に落とす。
「ん・・・ふっ」
先程と違う口付けを受け止めながら気持ちよさを我慢するような声を出す夕霧を信長はゆっくりとその場に寝かせ組み敷いた。
「今日はすまなかった」
「仕事ですもの 仕方ないです。」
信長の頬に手を当て、にっこりと微笑む。
「でも・・・結局、夜店で金平糖をみたら信長様に会いたくて仕方なくなってしまいました。」
そう告げる夕霧が目を細めて笑う。
その姿をみて信長も目を細め、もう一度深い深い口づけをした。
ドォォォォン・・・
絡めていた舌を止め、唇を離した途端、夕霧は花火の光で赤く染まる信長の肩に手を付き押し、自分も起き上がる。
ドォォォォン・・・
ドォォォォォン・・・
山城である安土城で一番高い場所にある二人の場所では、色とりどりの華が大きな音と共に目の前で咲いてはキラキラと儚く散って行く・・・
次々と上がる花火に見蕩れる夕霧を、信長は自分の膝に乗せた。