第12章 百物語。・:+°政宗ルート。・:+°
それは以前、この政宗の御殿での事。
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張り出した廊下に腰を下ろし月を見上げる。
眠れないな・・・
こんな時はしばらく眠れない。
下手をすると朝まで眠気が襲わず、次の日が辛いなんてよくある事だった。
500年先じゃないからスマホもないしな・・・どうやって時間を潰そう・・・
今までこんな事思いもしなかったのだが・・・
一人の夜はやはり辛い・・・寂しさが夕霧を包み込んでしまいそうだ。
政宗に一緒に起きていて、自分の寂しさを埋めて欲しいと思ってしまう。
だが、せっかく気持ち良く寝ている政宗を起こすのはやはり我儘だ。
はぁ・・・
「どうした?こんな所で。」
その声は自分がまさに今起きていて欲しいと願った人。
「政宗・・・」
「俺の御殿でため息とはな。そんなに退屈か?」
「そんなんじゃなくて・・・眠れなくて・・・」
政宗が横に腰を下ろし夕霧の瞳を見つめる。
「眠れないなら俺を起こせ。」
心の奥がキュンとする。
「でも・・・政宗、せっかく気持ち良く寝てたのに起こすなんて出来ないよ。そんな我儘・・・」
言いかけた途端、政宗の顔が近づく。
「っ・・・政宗?」
「そういう我儘は遠慮せずに言え。それくらいの我儘、我儘のうちにはいらねぇ。」
そういうと夕霧の身体を抱き寄せフワリと優しく抱きしめた。
いつもの抱きしめ方とは違い、何かに包み込まれる様な暖かい感覚・・・
愛する人の顔が見たくて顔をあげると、政宗の瞳とぶつかる。
そのままどちらからという訳でもなく互いの唇が触れ合った。
政宗の優しさに触れると本当に心が暖まる。
改めて私は政宗を愛してるんだと感じる瞬間でもあった。
「政宗。何か眠れそう。」
「よかったな。じゃあ寝るか。」
横抱きにされ、褥まで運ばれた。