第11章 百物語。・:+°三成ルート。・:+°
「三成くん、後ろ拭けてないよ。」
秀吉が置いていった手拭いで後ろ髪を拭く。
「ありがとうございます。夕霧様に迷惑を掛けてしまいましたね。」
「こんなの迷惑なうちに入らないよ。・・・あ」
夕霧は思い出したようにカバンから何か取り出す。
「これは・・・?」
「タオルだよ。」
「たおる・・・ですか?」
「カバンに入れておいたの思い出して・・・洗ってあるから大丈夫!」
フワリと三成の頭に乗せる。
「あ・・・とても柔らかいですね。」
「500年先のものだからね。」
夕霧は三成の頭を優しく拭き始める。
タオルから柔軟剤のいい香りが漂ってくる。
「とてもいい香りですね。」
「洗濯の時に香りをつけてあるの」
「500年先はそんな事も出来るのですね。」
振り向き、ニッコリと微笑んだ顔を夕霧に見せる。
その顔が本当に綺麗で。
胸の奥がキュンとした。
「か・・・乾かすから・・・前向いて。」
「すみません。そうですね、これでは乾かせませんね。」
三成はふふっと笑い、前を向き直した。
「三成くんはいつもこうなの?」
「私自身はそんな気はないのですが、秀吉様に注意されるという事はそうなのかもしれません。」
少し肩を落として呟く。
「家康様からもよく意見を頂戴します。とても的を得ていて勉強になります。」
三成くんは家康の嫌味を嫌味と思ってないんだ・・・ある意味凄いな・・・
夕霧は笑顔を絶やさない三成をみて感心する。
あ、感心するとこじゃないのか。