第21章 はんぶんこ。・:+°幸村。・:+°side姫
今、私すっごく嫌な顔してるんだろうな・・・
気まずそうな幸村の顔を見ながら冷静に自分の顔を思い浮かべる。
「やましい事は何も無い。でも言いたくない。」
「そう・・・わかった。じゃあいい。」
斟酌出来ない自分に苛立ちを感じつつ、それ以上に答えてくれない幸村にどうしようもない虚しさを感じながら救いようの無い言葉を幸村に吐いた。
春日山城の広間。
朝餉の支度が整い、それぞれが席に座り始める。
気まずい・・・
怒りに任せて「もういい」と言ったものの、一緒に朝餉を取らなくてはいけない。
いらないなんて言ったら佐助くんも信玄様も心配するだろうし・・・
何せ大人気なさすぎる。
ここはさっさと食事を済ませて針子部屋に逃げ込もう。
そう決意をした時後ろから声がした。
「おはよう幸村、夕霧さん。」
こんな時は佐助くんが救世主に見えてくる。
「おー、佐助おはよ」
「おはよう佐助くん。」
ほぼ同時に声を掛けた事に驚き幸村と目が合うが、お互いにすぐに目を逸らし三人で席へ向かった。
「これは一体・・・」
佐助くんが何か言いたげなのはもっともだ。
幸村と私は一つ席を空けて座り佐助くんに間に座れと言わんばかりの視線を送っているのだ。
「別に・・・夕霧も佐助と話したいかと思って。」
幸村の言葉に合わせるように続ける。
「佐助くんが嫌じゃなければどうぞ。」
ごめんね佐助くん・・・
そう思いつつ佐助くんを見つめた。
「じゃあお言葉に甘えて。」
何も聞かずに間に座る佐助くんを横目で見ながら、よかったと肩をなでおろす。
大人だな佐助くん。
そう思いつつ自分の大人気なさに情けなさを感じながら信玄様と謙信様を待った。
「おはよう。今日は面白い座り方をしてるんだな」
開口一番、信玄様は三人をみて苦笑する。
「よく分からん揉め事に俺の部下を使うな。」
謙信はため息を付きながら自席に腰を下ろした。