• テキストサイズ

あなたと〖イケメン戦国〗

第21章 はんぶんこ。・:+°幸村。・:+°side姫


鳥のさえずりに深い眠りから意識が浮上する。



「・・・んっ」



重たい瞼をゆっくりと開けると後ろから幸村に包み込まれるように抱きしめられている事に気づき思わず身じろぐと幸村も目を覚ました様で



「ん・・・もう朝か・・・」



と、眠たげな声が頭の上を掠めた。



体を捻り幸村の方に体を向けると腰に手を回され、さらに体の距離が縮まる。



「おはよ」



朝を告げる幸村の笑みにドキッとしつつ



「・・・おはよう」



と言葉を返す。



「何照れてんだ?」



「え・・・何も・・・」



恥ずかしくて言えない・・・幸村の笑顔が眩し過ぎてキュンとしたなんて。



自分の心の内が見透かされた様な気になって慌てて取り繕った。



「何だよ、気になるだろ。」



答えろとばかりに幸村の顔が更に近づいて来る。



「何でもないって・・・」



さらに近づいた幸村の胸をグイッと押す。



「何だよ」



「何でもないってば!」







しまった。



いつもなら素直に恥ずかしくても答えるはずなのに・・・



咄嗟に拒否するかの様な言葉を返してしまった事に自分自身が驚き、何も考えられなくなっている。



こんな所で昨日感じた幸村との距離を、自分自身で広げてしまうなんて・・・。



「ごめん。幸村・・・」



「俺も悪かった・・・」



謝ってみるが埋まりそうにない溝に胸が痛む。



「幸村は悪くないよ・・・」



「お前、何かあった?」



「え?」



「こんな事今まで無かったからさ。」



「・・・」



何かあったって・・・幸村の行動が気になってモヤモヤしてるのに・・・



沈黙の間、黒い感情がフツフツと湧き上がる。



「夕霧?」



「・・・たの?」



「は・・・?」



「どこに行ってるの?私が夜中に目が覚めると・・・いつも幸村いないんだもん・・・」



「っ・・・」



言葉に詰まる幸村を見て畳み掛けるように言葉が飛び出す。



「聞きたかったけど聞けなくて・・・そのうち何か変な距離が出来た気がして・・・ねえ教えて。どこ行ってるの?」



「それは・・・」



答えてくれないんだ・・・



/ 124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp