第21章 はんぶんこ。・:+°幸村。・:+°side姫
「んっ・・・」
布団から出た足が冷えた空気に晒され一気に目が覚める。
「寒っ・・・」
慌てて引っ込め布団の中でうずくまった。
あれ・・・幸村は?
隣に寝ていたはずの幸村の姿がない事に気づき、布団から体を起こすとまだ障子の外は夜が明けかけたところの様でまだ薄暗い。
今夜もどこ行っちゃったんだろ・・・
・・・実はこれが初めてでは無い。
最近夜中に目が覚めると必ずと言っていい程幸村は横にいないのだ。
不安を殺してぎゅっと夜着を掴んだ時、足音が部屋に近づいてくるのが微かに聞こえた。
咄嗟に夜着を被って身を潜ませると、間もなく襖が開く音が聞こえる。
足音は夕霧の頭上で止まり、そのまま隣にゴロンと横になったかと思うと、ほどなくしてすぅすぅと寝息が背中から聞こえ始めた。
寝ちゃったか・・・
夕霧はくるりと寝返りをうち幸村の方を向くと自分に掛けていた夜着を幸村にも掛ける。
あ、髪が・・・
乱れた幸村の髪を優しく撫でると微かに睫毛が揺れた。
起こしちゃったかな・・・?
そっと髪から指を抜くとまた規則正しい寝息が聞こえてくる。
よかった・・・
素直にそう思ったものの、気になっている毎晩の幸村の行動に胸がざわつき何となく落ち着かない。
寝たフリなんかせずにどこ行ってたのか素直に聞けばよかったな・・・
安心しきった寝顔を見つめながら自分も目を閉じる。
同じ褥で寝ているのに幸村との距離が遠く感じて胸がチクリと痛んだが、これ以上考えないようにまた深い眠りに落ちた。