第2章 刺激的な口付け。・:+°家康。・:+°
二人で政宗を見送り御殿へ戻ると、先程座っていた縁側に並んで座る。
夕霧は唐辛子の入った籠をちょこんと手のひらに乗せて覗き込んだ。
「こんなに可愛い形なのに激辛って意外だよね。」
政宗が油断して口に入れたのも何となく頷けてしまう。
「可愛いってどれの事言ってんの?」
「え?これだよ。島とうがらし」
もう一度島とうがらしを見つめる夕霧は愛らしい物を愛でていると言った表情だ。
「唐辛子に可愛いも可愛くないもないでしょ。」
「あるよ。この大きさが可愛いのに・・・」
分からないかなぁ・・・と呟きながら頬を膨らます夕霧。
またそんな顔する・・・
「それを言うならあんたでしょ。」
「何が?」
・・・ほら分かってない。
「唐辛子の可愛さなんか理解出来ない・・・っていうかしたくもないけど。こんなものよりも可愛いのはあんただって事。」
俺の中でどんなものよりも価値があってどんなものよりも尊い・・・
「いっ・・・家康っ・・・」
その言葉にみるみるうちに夕霧の顔が真っ赤に染まる。
「あんたの顔、唐辛子くらい赤くなってる。」
自分でも分かる・・・顔も体も暑い。凄く真っ赤な顔をしてるんだろう。
家康の顔なんか見れない・・・
恥ずかしくて目を逸らしていると家康の顔が近付いているのを感じた。
「顔見せてよ。」
「だめ・・・恥ずかしくて見せれない。」
素直な家康も好きなんだけど・・・どストレート過ぎて未だに慣れない・・・
恋人になってそこそこの月日が流れているはずなのに。
家康の一言一言にいちいち喜悦してしまう。
「だめ。見せて」
「んっ・・・」
優しく頬に触れた家康の手が夕霧の顔を上に向かせる。
「あんたのどんな顔も俺にとっては可愛くて仕方ない。だから恥ずかしがらずに見せて。」
真っ直ぐな瞳が夕霧の顔を見つめる。
ダメだ。家康の事大好きだ・・・
恥ずかしさよりも何よりも家康の素直な気持ちに応えたい。
「うん・・・」
その瞳に夕霧は自分の瞳を映すと、家康はニッコリと微笑んでゆっくりと口付けた。