第2章 刺激的な口付け。・:+°家康。・:+°
二人が覗き込んでいる籠が気になって夕霧は二人の間から体を乗り出して籠の中身を見た。
あ・・・これ・・・
「これ知ってる。島とうがらしだよね。」
そう答える夕霧を二人はキョトンとした顔で見つめる。
「へぇー。お前知ってるのか。」
「うん。食べた事はないんだけど・・・」
「どうやって使うんだ?」
政宗はフツフツと湧く興味を抑えられず夕霧に真剣な眼差しを向けた。
「使い方は唐辛子と同じでいいと思うけど、琉球國のお酒に付けて調味料として使ったりもするって聞いた事あるよ。」
「そうか・・・初めにここに来ればよかったな。」
「もしかして既に食べてみたとか・・・?」
「ああ。死ぬかと思った・・・」
苦笑いしながら政宗は頭を搔く。
島とうがらしは普通の唐辛子より辛い・・・現代でも日本の唐辛子の品種の中で二番目に辛いって聞いた事がある。
政宗の事だ。初めて見る食材の味を見極めたかったんだろう。
食材の味を知らないと料理は出来ないって言ってたし。
それにしても・・・悲惨だったんだろうな・・・。
想像するだけで喉の奥がヒリヒリ焼ける気がする。
「夕霧どうだ。お前も一つ食べてみるか?」
「だ・・・大丈夫!」
にやりと笑う政宗に夕霧はぶんぶんと首を振って答えた。
「で、どうだったんですか?味は。」
夕霧を見て笑う政宗に、手に持っていた一つを籠に戻しつつ家康は尋ねる。
視線を前に向けると、そこには何を言ってるんだとばかりにこちらを睨んでいる政宗の顔。
「鷹の爪も十分に辛いがこれは辛味じゃねえ・・・痛みだ。しかも激痛。こんなもの味わって食えねえよ。」
夕霧にポンッと島とうがらしの入った籠を渡し、フッと笑う。
「思いの外沢山あったからな、お裾分けってやつだ。家康、お前の御殿で好きに使え。」
「ありがとうございます。」
「俺はこれからそいつの研究だ。何としてでも料理に使ってやる。」
「がんばってね。」
「出来たらここに持ってくる。じゃあな。」
夕霧の言葉にニッと笑うと政宗は踵を返し、手をひらひらと振って門に向かって歩き出した。