第20章 アドベントカレンダー。・:+°信玄。・:+°
12月24日
チュンチュンと鳥のさえずりで目を覚ますと、もう朝かと髪を掻き上げる。
昨晩から上げたままにしていた雪見窓を見れば外には銀世界が広がっている。
雪か・・・そういえば佐助がくりすますに雪が降るとほわいとくりすますと言うとか何とか・・・
そう思いつつ、机の上のアドベントカレンダーをチラリと見る。
「今日で終わりか・・・」
毎日の様に楽しみにして開けていたアドベントカレンダーも今日で最後だ。
少し寂しさを感じながら褥から身を起こす。
二十四と書かれた引き出しはツリー形の一番てっぺんにある。
最後のお楽しみとばかりに一番上に君臨するそれのツマミを摘み、スッと引き出してみる。
「ん・・・?」
中には小さく折りたたまれた巾着・・・
巾着は手のひらに収まる程小さいものでこげ茶色の生地に菱の模様が織り込まれている。
黒い紐の先には青と緑が混ざりあった綺麗なとんぼ玉が両端に付けられていた。
「おー、綺麗だな。」
嬉しさの余り頬が緩む。
手のひらに乗せていた巾着を掴んだ時、カサッという音と共に布の上からではあるが、指先に折り畳まれた紙に触れた気がした。
巾着を開くと思った通り小さく折りたたまれた紙を見つける。
カサカサっと開けば丁寧に書かれた愛しい人からの文。
信玄様
おはようございます。
あどべんとかれんだー如何でしたか?
私は500年先にいた時、このあどべんとかれんだーが好きで毎年この時期になると買っていました。
心が踊ってくりすますが待ち遠しくなるんです。
最後の日にお菓子を入れていなくて申し訳ありません。
今日はくりすますいぶ。現代では恋人と一緒に過ごしたり贈り物をしあったりします。
この巾着は信玄様へ私からの贈り物です。
袂に入れておけるように小さめに作っておきました。
これならここにお菓子を隠してても幸村にばれないかなと思って。
黙っていましたが、今日朝一でそちらに着きます。
素敵なくりすますいぶになりますように。
夕霧