第20章 アドベントカレンダー。・:+°信玄。・:+°
読み終わると慌てて着替え、急いで飛び出す。
「信玄様っ!?」
途中で出会う家臣や女中に目もくれず走り出した。
門から伸びる道の先に目をやれば、佐助の馬の後ろに乗っている夕霧の姿。
「俺は馬を置いてくる。素敵なクリスマスを・・・夕霧さん。」
「ありがとう佐助くん。」
馬から降り、春日山城の門を見るとそこには肩で息を刻む信玄の姿。
「信玄様っ」
夕霧がそうを呼べば、走って駆け寄り夕霧を包み込むように抱きしめた。
夕霧が信玄の顔を見上げれば愛おしそうに微笑む信玄の顔が近づく。
そのまま唇を落とされ夕霧も目を瞑ってその唇に身を委ねた。
「来るなら来ると教えてくれればいいだろう。」
「驚かせたくて・・・いつも大人で追い付けない信玄様に。」
ふふっと微笑む夕霧を更に抱きしめた。
「そんな事ない。君が朝一にここに来ると分かっただけでこんなに慌てた。」
そう言うと苦笑いをしながら自分の足元を見る信玄の目線の先を追ってみると・・・
「あ・・・裸足・・・」
「「ふっ・・・あはははっ」」
二人で声を出して笑う。
「文を読んで慌てて飛んできた。夕霧の事となると大人の余裕も何も無いな。」
笑い合いながらその後で思考が追いついてくると大事な事に気づく。
「信玄様っ!風邪引いちゃいます。こんなに寒いのに・・・」
「大丈夫だ。天女の為ならこれ位何とでもない。」
そう笑う信玄を見て夕霧もつい笑みが零れた。
「巾着もありがとう。あれなら幸にバレずに済むな。でも・・・」
信玄は夕霧の頬をそっと撫でてもう一度深い口付けをする。
「一番嬉しい贈り物は君だった。今日は片時も離したくない。」
「信玄様・・・」
嬉しくて・・・くすぐったくて・・・夕霧は自分から抱きつく。
「・・・にしても流石に寒いな。部屋へ戻ろう。」
「はい。」
真っ白な道に点々と残る信玄の足跡を辿るように、二人は城の中へ消えていった。
MerryX’mas・・・素敵なクリスマスになりますように・・・