第2章 刺激的な口付け。・:+°家康。・:+°
「ありがとう。」
素直じゃないけど優しい・・・嬉しいな。
家康の優しさに頬を綻ばせながらぴったり隣に並んで歩く。
「はい。」
台所の入口まで来ると笊を夕霧に手渡した。
「ありがとう。置いてくるね。」
「うん。」
手渡した笊を抱えにっこりと微笑んで台所へと消えて行く夕霧を見つめて家康は思う
夕霧と一緒にいられる事がこんなにも幸せだなんて。あの笑顔はこれからもずっと守らないと・・・
「なーんだ家康。珍しく頬が緩んでるじゃねえか。」
「・・・政宗さん。どこから湧いて出たんですか。」
しまった・・・夕霧の方ばかり気になって、全く政宗さんの気配に気づかなかった・・・
慌てた素振りを見せない様に家康は突然現れた政宗を睨みつけた。
「ひでえ言い草だな。あれ?夕霧は・・・」
キョロキョロと見回すと台所から家康の元へ戻ってくる夕霧を見つける。
「あ、政宗。」
手を振り駆けてくる夕霧を見てニヤリと笑う政宗。
「夕霧、天邪鬼のとこも飽きただろ・・・俺の所来い。」
「わっ・・・」
顎をくいっと持ち上げ夕霧の鼻先に政宗の顔がぐんと近づく。
慌てて政宗の顔と夕霧の肩を、家康は両手でぐいっと掴んで引き離した。
「いてててっ!」
政宗の顔を抑える手は容赦なく力がこもっている。
「どこが飽きたんでしたっけ?もう一度教えてください。」
「悪い悪い冗談が過ぎたな。」
その言葉に家康がぱっと手を離せば政宗は自分の顔を擦る。
「からかいに来たんなら帰ってください、俺も暇じゃないんで。」
「まあまあ・・・用はある。見ろ家康。」
政宗の手には小さい籠。
「これ・・・唐辛子・・・ですか?」
一つ手に取った家康がまじまじとよく見る。
唐辛子に似てはいるが、何だか小ぶり・・・と言うより小さい。
でも、真っ赤な色は唐辛子と同じで太陽の光を受けてぴかぴかと光っている。
「何でも日ノ本の西にある琉球國ってとこの唐辛子らしくてな。信長様が南蛮の商人からもらったらしい。」