第19章 お手伝い。・:+°秀吉。・:+°
やっと泣き止んだはずの夕霧も先程の様子を話すうちに段々と涙が溢れ出し声も涙声になる。
「夕霧ー、大丈夫だ。三成は無事なんだから落ち着け。な?」
秀吉は優しく優しく夕霧の頭を撫でる。
「部屋がそんな事になっていたのですか?気づきませんでした。」
「お前なぁ・・・」
他人事の様に答える三成を横目に秀吉はため息を漏らす。
「とにかく今から飯だ。この部屋じゃ褥も敷けない。今から隣の部屋に用意するからそこで夕餉だ。」
「秀吉様お気遣いなく・・・」
「三成。そういう事は自分の世話が出来る様になってから言え。」
「申し訳ありません・・・」
その後、すぐに膳を用意され三人で夕餉を済ませた。
もちろん秀吉の長ーい説教付きだ。
「秀吉さんそれ位にしてあげて。」
最初はうんうんと頷いていた夕霧も流石にこの長さに苦笑いを浮かべている。
「駄目だ。夕霧を怖い目に合わせた上に三日も寝食を忘れるなんてこれ位じゃまだ足りない。」
「その通りです、夕霧様。」
「お前は黙っていなさい三成。お前の事を言っているのに他人事とはどういう事だ。ちなみに、一ヶ月書庫の入室、自室に書物の持ち込みは一切禁止だ。」
その言葉に三成の顔から血の気が失せる。
よっぽどな罰よりも辛そうな顔に夕霧は苦笑した。
そろそろ夕餉も終わろうかとしている頃、湯呑みを手に取った夕霧を秀吉がつんつんと肘でつつく。
秀吉を見上げると困った様に眉を落としながら夕霧に笑いかけ別の場所に視線を移す。
その視線の先に顔を向ければそこにはこくん、こくんと船をこぐ三成の姿・・・
はぁ・・・とため息をつき、秀吉は三成を背負って膳が運ばれた際に女中が敷いてもらった褥に転がす。
大の大人ということもあり、ドスンと結構な音が響いたが三成はビクともしない。
その体に夜着を掛け夕霧は乱れた三成の髪をサラリと撫でた。
「こーら、他の男にそういう事するのは禁止だ。」
ぽんと頭に手を乗せて秀吉が夕霧の顔を覗き込む。