第19章 お手伝い。・:+°秀吉。・:+°
「これは夕霧様まで・・・どうかされたのですか?」
三成の声が聞けた事に安堵した途端、とめどなく涙が溢れてくる。
「三成くんが・・・生きてた・・・よかったよぉ・・・」
「怖い思いをさせたな夕霧。もう大丈夫だ。」
秀吉の肩口に掴まって泣く夕霧を秀吉が手を引き膝にストンと座らせ抱きしめる。
落ち着く様、頭を撫でてやれば胸の中にしっかり収まり深呼吸を始めた。
「秀吉様・・・これは・・・」
「それは俺が聞きたい事だ。三成・・・」
状況が呑み込めず、声を発した三成に秀吉がピシャリと言い放つ。
「とりあえずお前が生きててよかった。お前の体が動かないのは本の下敷きになってるからだ。自分で起きられるか?」
「ああなるほど。そうだったんですね。通りで重い訳です。」
三成が体を起こすとバサバサバサッと本が崩れていく。
「三成・・・どこか痛む所は・・・」
「大丈夫です。すみません・・・秀吉様にも夕霧様にもご迷惑をお掛けしました。」
「お前何でこんな事になって・・・」
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数日前・・・
「秀吉様から頂いたお休み、本の整理でもしましょうか。」
自室の本が山積みになり、必要の無い本は書庫に戻す事にした。
しかし数刻後・・・
「あれ?おかしいですね、本を戻したのに・・・」
書庫に戻したところでまた読みたい本を見つければ部屋に持ち帰る為、減るどころか増える始末・・・
挙句の果てには室内で本を読み進めてしまい・・・
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「今に至ります。」
「今に至るって3日前の事だろ。女中達は膳を運んでこなかったのか?」
「詳しくは分かりませんが、急用などで戻らないとお膳が無駄になると思い御殿に居る時は取りに行くと伝えましたので・・・」
大きなため息をついた秀吉の顔を見上げながら夕霧が尋ねる。
「でも、明かりなんてついてなくて・・・部屋の中も本がいっぱい散乱してて・・・蝋燭の燭台も本の下敷きになってて引張ったら・・・三成・・・三成くんが・・・」