第19章 お手伝い。・:+°秀吉。・:+°
深呼吸している間夕霧の背中を擦りつつ部屋の様子を伺う。
入ってきた時は夕霧に隠れて見えなかったが夕霧の真後ろには本の下敷きになり顔から胸元までしか出ていない三成の姿。
その姿にドクンと心臓が嫌な音をたてたが、今は慌てられない。
平静を装いつつ、少し落ち着きを取り戻した夕霧の頭を撫でる。
「よく頑張ったな。状況は後で聞くから場所を変わってくれ。」
夕霧も何となく秀吉が全てを察知した事に気付きコクンと頷き場所を代わる。
蝋燭の暖かい灯りは室内を橙色に染めている。
その灯りの中でも三成の顔は血の気が失せており明らかにやつれているように見える。
とりあえず息をしてるか確認しないとな・・・
本当は今すぐにでも揺さぶって大声で三成の名前を呼びたかったが夕霧の手前、慌てる姿を見せたくなかった気持ちが勝ったようで冷静でいられた。
ただ体はやはり正直で、心は恐ろしい程に冷静でいるのにアンバランスに心臓が警鐘を鳴らすかの如く脈打つ。
そっと口元まで耳を寄せるがそこまでがとても長く感じる。
その間にぐるぐると走馬灯の様に駆け巡るのは三成の事。
出会った頃の小姓の姿、戦になると時に非情になる顔、本を読みふける真剣な横顔、いつも向ける穏やかな笑み。
背中に嫌な汗が流れるのを感じながらやっとたどり着いた三成の口元に耳を寄せ、呼吸を確認する。
ーーー頼むっ三成!!!無事でいてくれっ!!!!
ーーーすぅーーーすぅ・・・
は?
「うわぁっ!」
ガバッと起き上がった秀吉の背中が間一髪夕霧の顔にぶつかりそうになる。
そんな事に気づく事もなく秀吉はワナワナと震えている。
「・・・ひ・・・秀吉さん?」
恐る恐る秀吉さんに近づこうとしたその時、
「三成っっっ!!!起きろっっっ!!!」
・・・え?・・・起きろ???
夕霧は恐る恐る秀吉の肩口から三成の姿を覗き込む。
「・・・ん・・・・・・秀吉様・・・おはようございます。あれ?おかしいですね。体が動きません・・・」
「み・・・三成くん!!」