第19章 お手伝い。・:+°秀吉。・:+°
「三成くん!開けるね!」
先程よりも大きな声を上げて障子に手をかける。
シュッ・・・タンッ
目を瞑ったまま勢いよく障子を開け放つ。
暗い・・・
しまった・・・蝋燭を持ってくればよかった・・・
廊下の行灯は夕霧が障子を開け放った事により二重に重なり更に室内に灯りが入りにくくなってしまっている。
左側の障子から漏れる僅かな光で本らしき物が山積みになり人の高さほどになっている事だけは分かった。
しかし山積みになった物のせいで部屋に明かりが入る事はなく、その真下は真っ暗で人がいるかどうか確認出来そうにない。
うーん・・・とりあえず行灯の真横の障子を開けたら光が入るよね。
行灯がある場所の障子を開けてみる。
先程まで見えなかった室内をぼんやりとだが照らしてくれた。
え!?何これ!?
照らされた室内は本が散乱し足の踏み場がない。
本だけではないようだ。巻物も大きいものから片手で十分持てる物まで落ちており雑然としている。
とても人がいるなんて思える部屋ではない。
でも確認はしないと・・・
キョロキョロと行灯が照らす限りの場所を見渡すと燭台が本に倒されたようで横になっているのが見える。
これを使えば・・・
夕霧は本の下敷きになった燭台を引っ張ってみるがビクともしない。
でもそんな事は言ってられない。何としてでも引っ張りださなきゃ・・・
んんんっ・・・もう少し・・・うーんっ
抜けた!
そう喜んだと同時に起きたのは雪崩のような音。
ドドドドドドドドッ!!!
凄まじい音を立てて本が崩れている。正しくは本の様な何かだ。
うっ・・・
え?何?今の声・・・
もしかして三成くん?
ドクドクと脈打つ心臓を押さえ付けるように大きく深呼吸をして行灯から蝋燭に火を移す。
先程抜き取った燭台に蝋燭を立て部屋を見渡せば中央に本が瓦礫のよう山になっている場所がある。
その山の隙間に見覚えのある灰色に白い格子柄の刺繍が施された袴が見えた。